Meridian Explorer2は海外製ブランドのアクセサリーのような品のいい小箱に入っていました。小さな筐体です。昨今はスティックタイプのDACがあり、とりわけ小型とは言えませんが、必要最小限のファクションとアルミを纏ったミニマルなデザインはApple製品などとよくマッチします。機能詳細は
メーカーHP をご参照ください。
Meridian Explorer2の音質について、比較するのは同じTI社のDACチップを使ったアキュフェーズのDAC-40。レンジや解像度は価格帯が比較的近いので大きな差はないものの、物量とアンプとの接点の違いもありDAC-40の方が音質的にやや分があります。しかしどちらも自然な音調でExplorer2はキメが細かくDAC-40はシャープな音像、それが各DACのキャラクターという認識です。これが視聴の前提です。
Equipment
Storage: Macmini, Macbook Pro
Software Player: Audirvana Plus 2 (A+)
Hardware Decorder: Meridian Explorer2
Hardware DAC: Accuphase DAC-40
Amplifier: Accuphase E-360
Speaker: ProAc STUDIO100
Headphone: AKG K240MK2
Cable: AudioTechnica AT561A
A+の設定はInteger(Hog) mode, Core Audio, No UpSampling, No Dither
Mac環境なのでMQA-FLACの再生にはAudirvana Plusを使いましたが、他にもVox, BitperfectでもExplorer2のデコーダが機能します。
1. スピーカー再生:Macmini, A+, Explorer2, E-360, STUDIO100
2. スピーカー再生:Macmini, A+, DAC-40, E-360, STUDIO100
3. ヘッドホン再生:Macbook Pro, A+, Explorer2, K240MK2
VIDEO
Source:
2L Test Bench MAGNIFICAT -MAGNIFICAT - Nidarosdomens jentekor & TrondheimSolistene
16bit/44.1kHz, 24bit/192kHz, MQA(24bit/384kHz)をテスト用音源として使います。Explorer2のD/Aスペックは24bit/192kHzなので、MQAは24bit/192kHzで展開されます
先ず、初めてMQAフォーマットを自宅スピーカーで再生した時の率直な体験を。その時はスピーカーに背を向けPCを操作していたと思います。いわゆる”ながら聴き”の態勢です。MQAサンプル音源の音がスピーカーから出てきたとき、思わず振り返って手を止め、体をスピーカーへ向けその音に聴き入りました。ハイレゾと何かが違うことが感覚的にわかりました。
さて、16bit/44.1kHz, 24bit/192kHz, MQAを聴くにあたり予断を排除する必要があります。例えばORIGAMI概念やデジタルフィルター機能等々のプライミング。とは言え、まっさらな気持ちになることは不可能ですので、できるだけ音の違いだけを主観評価することに専念します。
16bit/44.1-192kHz-MQAとループしながらスピーカー再生で聴いていきます。16bit/44.1kHzが基準となりますが、24bit/192kHzはレンジが広がることで見通しが良くなります。またノイズが減りディテールまで聴こえやすくなります。これは一般的なCD音質とハイレゾ音質との評価に重なるものだと思います。ただ2Lのサンプル音源は元々音質が良く、Explorer2のDSP効果により16bit/44.1kHzも十分良く聴こえます。
次にMQAを聴くと24bit/192kHzとサウンドバランスの変化に気付きます。オルガンやコントラバスの低域の量感が僅かに減り、バイオリンの明るい音色が増します。一聴するとこの変化をネガティブに感じる方がいるかもしれません。そこでExplorer2のヘッドホン端子による再生に切り替えて聴いてみます。
24bit/192kHzとMQAで高中低域をそれぞれ追いながら聴いていくと、24bit/192kHzはオルガンやコントラバスの低域の音の立ち上がり・たち下りに付いてくる音がMQAはぐっと減っています。そしてこれがいわゆる付帯音と表現されるものの正体だと気付きます。この音源ではMQAは付帯音が減り、同時に低域の量感の代わりに輪郭が現れ、そこに埋もれていた音が明瞭に聴こえてきます。
音の明瞭さとは微弱音や余韻といったディテールが聴こえるという意味で、その音が再現されることから楽器が本来奏でている響きや余韻が聴き取れるようになります。これが倍音成分が広がり音が豊かになると表現されるMQAの特徴かと思っています。この点が今まで聴いていたハイレゾとは何かが違うと感じたポイントです。
ハイレゾは線が細いと言われることがありますが、MQAはそうは聞こえませんでした。また輪郭が現れることからモニター的フラットな傾向かといえばそうでもなく、はたまた脚色を付加したような不自然さもありません。ですからソフトウェアあるいはハードウェアで高音質化を追求している現状の既成概念が揺さぶられる可能性があるかもしれません。
そしてMP3の高音質版のような印象ではなくハイレゾそのものという感想も持ちました。ファイルサイズ1/3以下で24bit/192kHzと比肩するほどの音質と言っていいと思います。さらに音質が向上していると判断でき得る変化。この点を考えると聞き始めはなんとも不思議な感覚を経験することでしょう。Meridian Explorer2でMQA体験をしたレビューはこれで終わります。
余談ですが、MQAはFLACコンテナでダウンロード配信されることが多い状況です。そのFLACをALACにコンバートできないのかMQAに質問したところ、MQA FLAC to MQA ALACはビットパーフェクトでコンバージョンできると回答がありました。ただし変換の際にメタタグに改変があればディスプレイ表示などに影響があるかもしれないが、音声信号に問題はないとのことです。ですからiTunesライブラリにMQA-ALACで保存しAudirvana, VOX, Bitperfect等で再生できるということです。
追記:Meridian Explorer2のJitter/THDをMusicscopeで測定しました。あくまでもソフトウェアアナライザでの簡易的な測定ですので、ご参考まで。
Equipment
Hardware: Macmini, Macbook Pro
Meridian Explorer2 Lineout - Apogee Element 24
Software Player: Audirvana Plus
Analyzer: Music Scope
Jitter測定測定結果:
縦軸は振幅(0, -150dB)、横軸は周波数(左5,641Hz - 11,025Hz -16,419Hz右)、 -5.4dB。
THD測定結果:THD 0.001299%と測定されています。
Explorer2は聴覚では歪み感が少なくナチュラルな音質です。ポータブルに属するDACですが、測定結果から数年前の据え置き型と遜色のないものと捉えており、よくできた製品だと感じています。
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