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レビュー ヴェロニカ・エーベルレ ヴァイオリン・リサイタル

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兵庫県立芸術文化センターで行われた「ヴェロニカ・エーベルレ ヴァイオリン・リサイタル」へ行って参りました。台風15号の影響もあり西日本は猛暑が戻ってまいりましたが、三連休の最後の祝日の午後は、快晴でも陽光はやや強さが弱まり、湿度の低いカラッとした風が時折そよぐ良い気候となってまいりました。会場の入り口へと急ぐ人波に合流いたします。

 会場はKOBELCO 大ホール。ステージには中央にスタンウェイのグランドピアノと椅子、その前に譜面台。座席は1階中央右寄り。年齢構成はやや高めのオーディエンス。開演を告げるアナウンスのあと客席が暗転。静まりかえった会場の舞台下手側からヴァイオリンのチューニング音が聞こえてきます。しばし聞き入りますが、ボウイングが見えてくるかのような、すでに音楽となっていました。

 チューニングの音が止まり、下手のドアが開くと真紅のドレスを纏ったヴェロニカ・エーベルレさんがステージへ登壇します。客席は大きな拍手で迎えます。次いでピア二ストの児玉麻里さんは対照的にシックなトーンのカラフルなドレスで後へ続きます。二人が横に並び客席に一礼し、いよいよ開演です。




YouTube「Veronika Eberle & Edicson Ruiz Plays Oscher's Passacaglia」より。  演目は
 ・チャイコフスキー:なつかしい土地の思い出 Op.42
  「瞑想曲」「スケルツォ」「メロディ」
 ・ シューベルト:幻想曲 ハ長調 D.940 Op.159
  (休憩)
 ・バルトーク:狂詩曲 第1番
 ・パガニーニ:カンタービレ ニ長調 Op.17
 ・フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
 (アンコール)


 今回のプログラムは「Story 物語」とタイトルが付されおり、これはフランクのソナタが結婚のお祝いとして書かれた曲ということからエーベルレさんがヒントを得て、このテーマでプログラムを作り上げられた旨が当コンサートフライヤーに記載されています。彼女のコンサートの意図を意識しながら、ピアニストとしてご活躍中の児玉麻里さんとの共演も楽しみの一つです。 





 チャイコフスキー:なつかしい土地の思い出 Op.42。冒頭、ピアノの響きを意識します。「瞑想曲」児玉さんの演奏に乗りエーベルレさんのソフトタッチな旋律は明るく軽やか。「スケ…

コラム Haruki Murakami's Vinyl Collection

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村上春樹作品に最初に触れたのは「ノルウェイの森」でした。Red&Greenのポップな装丁と若手作家の話題作という評判は、学校の休み時間に話題になるほどの現象であったことがうっすらとしたイメージとして脳裏に残っています。教師の中には「ノルウェイの森」を酷評し、学生が読むべきものではないとして憚らない者もいました。我が家の本棚にある上下巻は第二刷、実家に置き残したことに気づき、ふと読み直して見たくなり、神戸の書店で買い直したものです。

 その村上春樹さんは音楽・オーディオ愛好家としてもつとに有名です。早稲田大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を営んでいたこと、作品の中に楽曲についての多くの描写があること、エッセイで音楽について語られていることなど、彼が積極的にメディアに露出しないことからすれば、雑誌のインタビューなどに応じるなかで出てくる音楽論やオーディオシステムの話は、音楽・オーディオ好きの”さが”を垣間見るようで、なんだか親近感を抱きます。彼が愛用するJBL & Tannoyのスピーカーが映る書斎は公式ウェブサイトで一部を見ることができます。

 先日AudioStreamの記事「3,350 Song Playlist from Haruki Murakami's Record Collection」By Michael Lavorgna」に目が留まりました。ソースはOPEN CULTURE「A 3,350-Song Playlist of Music from Haruki Murakami’s Personal Record Collection in Literature, Music」。その内容はストリーミングサービスのSpotifyとTIDALに「Haruki Murakami's Vinyl Collection」というプレイリストができたというもの。TIDALには通しの番号が記載してありRichard wyands「Then, Here And Now」まで3,284曲がリストされています。





 ジャンルはジャズとクラシック。OPEN CULTUREの記事には彼のレコードコレクションは10,000枚、大半がジャズと記載があります。旧作から新作まで、かと言ってクラシックもグリュミュオー, リヒテル, アシュケナー…

コラム SACD, HDCD, MQA-CD スペック比較考察

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いま注目を集めつつあるMQA-CD。レビューはオーディオメディアや拙稿でも取り上げていますが、その際に既存のフィジカルメディアSACD, HDCDに例えられる場面があります。そのなかにはMQA懐疑論のコンテクストで失敗したメディアのメタファーとして使われることも。そこで今回それらスペックを比較考察してみました。わかりやすいように類似点と相違点として区分しています。


[類似点]
SACDHDCDMQA-CD規格スカーレットブックレッドブックレッドブック容量4.7GB700MB700MBオーディオ形式PDM(DSD)LPCMLPCMプロセスend-to-endend-to-endend-to-endデコード○○○デコード無しの
コーデックLPCM/2ch
16bit/44.1kHz
(option 5.1ch)LPCM/2ch
16bit/44.1kHz

LPCM/2ch
16bit/44.1kHzライセンス有有有
・規格:物理仕様、HDCD, MQA-CDはCD-DAのレッドブック規格、SACDはスカーレットブック規格。
・コーデック:デコーダ無しの場合、SACD, HDCD, MQA-CDはLPCM/2ch/16bit/44.1kHz共通。
・オーディオ形式:HDCD, MQA-CDはPCM。SACDはPDM(DSD)ですが、元音源はPCMである場合がほとんどです。
・プロセス:end-to-end は共通でプロセスがコンセプトという点は類似。
・エンコード/デコード:処理の有無はSACD, HDCD, MQA-CD共に同じ。処理方式は相違。
・ライセンス:ライセンスを有する点は同様、ライセンスフィーは異なります。

(符号化という含意でのエンコード処理はCD化でも行いますが、今回は便宜的にエンコード/デコード処理の意味で記載しています。)


[相違点]
SACDHDCDMQA-CD主要機能CD層とSACD層のハイブリッドビット深度の拡張ビット深度・周波数の展開仕様/
デコード後の
スペック1bit/2.8MHz
(PCMの20bit/88kHz相当)20bitへ拡張
Model1-44.1kHz
Model2-88.2/96kHz
(各固定)24bitへ拡張
44.1-352.8kHzまで展開
(デコーダに依存)DRMありありなし*リッピング不可可可デジタル出力HDM…

レビュー Goldring Elite

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Goldring Elite


 Goldring Elite/Eroicaは共振に強い超硬質Pocanボディーを採用し、艶消しのソリッドで精悍なフォルム。Goldring製品はElektra/Elanこそカラフルですが、その他のラインナップはトーンを抑えた控えめで主張しすぎなスマートな気風。そこがGoldringたる存在感なのかもしれません。

 EroicaとEliteの違いの一つがスタイラスチップ。前者はGygerⅡ, 後者はGyger S。Eliteはよりシャープなスタイラスです。GygerはShibata、VanDenHulと並ぶ三大ラインコンタクト針として名高く、高解像度でインナートレースに強い特性があり、他のカートリッジメーカーもモデル別にスタイラスを使い分けています。さらにEliteはコイル素材に銀線を使うことで、よい高解像度の音で再現することに貢献しています。




Shelby Lynne You Don't Have To Say You Love Me

 ノッティンガムのプレーヤーはハイコン・ミディアムコンに適したトーンアームを標準で搭載していますが、ハイコンを志向すれば軽量カートリッジを視野に入れることになります。そこにあって拙オーディオ環境に限って言えば、物理的にハウリングマージンをとることができませんでしたので、ハイコンのトレースを前提としたときに、軽量かつ共振に強い筐体を持つカートリッジを選択肢に入れます。

 インタースペースアームの内部配線素材は銀線ですが、面白いことにEliteのコイル配線も銀線。そこでトーンアームとカートリッジの同素材に注目し、アームから針先ま銀線でつながることに好奇心を持ち採用しました。結果、NottinghamとGoldringの相性は抜群です。まずEliteの強固なキャビネットがハウリングマージンを高め、そしてラインコンタクト針によるインナートレース時の内周歪みも軽減されました。

 音質はクリアーでいたってニュートラル。ウェルバランスにあって中高域の解像度は特筆ものです。レンジも申し分なくMCの奥深さや繊細さといった特徴と共に安定してトレースする実力を持つカートリッジです。DECCA, RCA, EMI等の旧盤をトレースしても一定の音質を担保しますので、新旧レコードをお持ちの方にジャンルを問わず実用的で信頼で…

コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part8

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今回はPart5に続きMQAについて否定的な立場の意見を取り挙げます。

 PlaybackDesigns社 Andreas Koch氏が「My Questions and Answers (MQA): An Interview with Andreas Koch」という題名のインタビューにposi+ive feedbackサイトにて答えています。Koch氏はSonyエンジニアの経歴を持ち、昨今のDSDフォーマット推進の牽引者として有名ですが、拙稿ではDSD関連でKoch氏のホワイトペーパーへの反論としてReal HD-Audioの記事, GrimmAudio社のホワイトペーパー, Mojo Audio社の論説を取り挙げたことがあります。 全体を通しての内容はPart5で取り上げたマーケティングおよび技術論、後述する別の立場の見解、巷のMQA懐疑論に重なるものです。

 いくつかのポイントがありますが、一点目がインターネットの帯域幅やストレージは拡大されつつあり、その問題は解決されつつあるという主旨です。二点目が新しいフォーマットはPCMを超える利点があるときのみ成功できるとしている点です。三点目がMQAはディザリングで17-18bitから拡張しているとされていますが、エンコード処理を十分に精査しなければならいという点。四点目がDRMやライセンス収入の問題があるが、フォーマット論はエンジニアではなくマーケティングが決定するという主旨です。

 一点目のネット帯域幅やストレージの増大が見込まれる点については、統計的平均が非圧縮PCM24/96で十分な帯域を確保しているとしていますが、この点はインフラの要素が強いので、もっと保守的に見たほうがいいのではないかと思います。二点目はPCM24/176.4のダイナミックレンジ144dBが可聴帯域としては過剰ゆえにPCMにない利便性でMP3の成功があったが、帯域幅やストレージの課題の障壁は先述の通りなくなりつつあるとしています。過去にDSDフォーマット論争のご経験があるだけにこの点は説得力があります。

 三点目はエンコードプロセスがブラックボックスなのでパテントが前提ということになると思いますが、24bitを謳いながら7-8bitの減少があるのではという巷の検証仮説は広く共有されているところで、その点でMQAのマーケティングに対…

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