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11月, 2018の投稿を表示しています

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レビュー 立体音響ラボ バーチャル・オーディオ・リアリティの世界

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  株式会社アコースティックフィールド さん主催のACOUSTIC FIELD presents『立体音響ラボ Vol.7』立体音響ワークショップ #7 「バーチャル・オーディオ・リアリティの世界」へ行ってまいりました。 場所は東京・お茶の水駅からすぐのRittor Base。地下1階へ階段を下りていきます。 扉を開けると、薄暗い室内にPCやモニター類。  暗幕カーテンの中に3つの球体、アコースティックフィールド・久保二朗氏とスタッフが機材を調整中。  ヘッドホンを装着しタブレットPCをキーボード操作している模様。NGを前提にカメラを構えると、撮影OKが出ました。複数のアプリケーションが起動しています。  シュアーのヘッドホン。ヘッドバンドにトラッカーが装着されています。  球体はシルバーカラーのスピーカー。ワイヤレス?実はダミー。体験者に方位感覚を示すために設置しているとのこと。  暗幕カーテン内で照明を落とすとダミースピーカーだけが浮き上がってきます。体験者はこのトライアングルの真ん中に立ち、ヘッドホンとリュックサックを背負い立体音響を体験することになります。  ここで一部体験者インタビュー。 イベンター:面白かった。もし暗幕でなかったら、と想像した。 制作者:視覚を奪わないのでいい。雰囲気作りが短い時間でできる。 プログラマー:ヘッドセット使ってない。土砂降りだけど濡れていない。絵がないぶん想像する。映像と組み合わせてもいいが、単純に音だけでもいい。音だけの方が解像度があるようだ。 会社員:音が当たる。面ではなく音が降ってくる感覚。沖縄にいるような不思議な体験。インスタレーションのようなアートで使われることになれば世界観が広がるのではないか。 サウンドデザイナー:素敵。敏感さが素晴らしい。立体感のある雨がいい。映像より音だけの方が広がるのか。 サウンドデザイナー:高さ方向が出ていた。動いているか感覚があった。画面がないことが新鮮。  筆者の感想も重なりますが、冒頭は音の定位音像や質感に聴感が集中しました。やがて、近くに聞こえる音に手を伸ばすが何も無い。音がある方へ歩み振り向くが何も無い。天井から降るモノに包まれているはずが、身体には何も及ぼされていない。不思議な感覚の臨場感と没入感。  さらに、ヘッドマウントディスプレイのない状態は視野に自由さが加わり、立体音

Frostwork / 加藤真亜沙 [music review]

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  加藤真亜沙 (Kato Martha)による2017年4月22日発売(レコードストア・デイ)のアナログ盤 12inch EP Edition「Tales from The Trees / アンモーンの樹」からの1トラック。通常盤は2016年9月発売。アルバムアートはMotoji Katoさんによるドローイング。アンモナイトとプランツをモチーフにした絵画。アートワークはTaiji Kurodaさんと加藤さん。  レーベルは SOMETHIN'COOL 。録音は2015年8月24日 Dave Darlington氏(Water Music)、2015年12月6日 Andy Plovnick氏(Bunker Stidio)、エディット・ミキシング・マスタリングは2016年 Dave Darlington氏(Bass Hit Recording)がクレジットされています。Small Sky(武満徹 作品)を除いた全曲は加藤さんの作曲、セルフプロデュース作品です。  加藤さんのピアノの微細な音から始まるイントロダクション。美しいピアノの音の粒にウッドベースが重なり、サスティーンの背景にシェイク音、ギター音が現れては消えます。1分を超える導入部分。やがてトランペットとクラリネットが主旋律を奏で始めます。哀愁的なフレーズです。エレキギターとピアノが同じ旋律をなぞり、トランペットとピアノが絡み合いながら旋律を繋げます。  小休止のあと、再びピアノのイントロダクション。トランペット、ドラム、ギターがハーモニーで重なり、ついに融合し、三拍子のシンプルでインプレッシヴな主旋律を奏でます。リフレインしながらメロディとリズムが次第に大きなうねりとなっていきます。バッキングボーカルが入りクライマックを迎え、そして最後には管楽隊とピアノの柔らかな音が消え行くよう静かに楽曲を終える7分間。  フロストワーク - 霧の花- ピアノの音のパウダーが多様な楽器とのハーモニーを経て、ついには大きな森林、大河、大海原に合流し、レンジの広い壮大なシンフォニーに昇華する。クラシック的でもありロック的でもあり、ジャズという枠を超えたクロスオーバーな魅力があります。そして何故だかわかりませんが、思わず涙してしまうくらい感情を揺さぶられるドラマティックな楽曲です。

レビュー 甲南大学 甲響学祭 & 大阪芸術大学 JAZZ&POPS guest 黒田卓也

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(ライトアップした中之島中央公会堂)  去る2018年11月3-4日、兵庫にある甲南大学・文化会交響楽団の甲響学祭(摂津祭)に行って参りました。甲南大学と言えば古くは関西政財界、実業家のご子息・ご令嬢が通う(イメージの)中高等教育一貫校の一つであり、今日的にもなお、コンサバティヴな校風が六甲山の麓から下りてくるようなカレッジです。  高等教育を終了以来、学園祭の類にはほとんど足を運んだことのない筆者ですが、SNSでの告知が偶然目に入った甲南大学・文化会交響楽団さんにはご縁を感じ、比較的アクセスが良いということもあり、大学の学園祭に潜入レポートをするつもりで参加致しました。近隣の駅を降り、閑静な住宅街を抜けると大学の門がありました。    学生の模擬店の元気の良い掛け声を横目に大学事務所のある1号館に辿り着くと喧騒を抜け出た静けさ。エレベータに乗り込むと居合わせた数人の方々と会場のある3階ラウンジへ。陽当たりの良い窓に面したスペースのおおよそ三分の二を楽団員のスペース、三分の一を観客席にセッティング。アットホームな雰囲気でした。  演目は ハリーポッターメドレー / arranged by Masaki Watanabe 大脱走のマーチ / L.Bernstein アンサンブル A DISNEY ADVENTURE / arranged by Chuck Sayre 行進曲 旧友 / C.Teike ハンガリー舞曲 第5番 / J.Brahms  座席はほぼ埋まり、予定時刻に司会を務める部員さんによる「甲南オケ(甲響)」の紹介、プログラムが始まりました。冒頭の楽曲こそ緊張が伝わりましたが、順を追ってポップス、クラシック、心地よい調べのアンサンブルと空間的なハンディこそあったものの演奏は十分に楽しめました。ラストのブラームス・ハンガリー舞曲 第5番は演奏に磨きがかかり迫力も加わり、もっと聴きたいと思わせる演奏会でした。  少し時間がありましたので、他の音楽系サークル(JAZZ研、UK、軽音楽部、フォークソング同好会)の部屋も駆け足で覗きました。なかでも1号館と接続している3号館で行われた甲南大学 JAZZ研究会。男性だけの漢バンド、女性だけのギャルバンドの2つのビッグバンドを観覧いたしましたが、部員の多さに驚きます

Mischievous mouse / 大江千里 [music review]

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  大江千里 による2017年1月発売のアルバム「Answer July」からの1トラック。アルバムアートはNishinoさん(キングコング)による精巧なイラストレーション。モチーフは大江さんらのバンドでしょうか。世界盤・ヴァイナル盤以外の通常盤はNishinoさんのイラストが入ったアートフレームを大江さんが抱えているショットとなっています。  レーベルは Village Music 、 Think! Records 、 PND Records 。ミキシング・マスタリングエンジニアはOscar Zambrano氏、アナログ盤の企画・監修は塙耕記氏。全てのトラックの作曲は大江千里さん、作詞はJon Hendricksさん、Lauren Kinhanさん、Becca Stevensさんがクレジットされています。大江さんのセルフプロデュース作品です。    Mischievous mouse、訳すれば”お茶目なネズミ”。作詞はJon Hendricksさん、ジャズ界のレジェンド。ボーカルはSheila Jordanさん、言わずと知れたビッグネーム。このトラックを含む作詞と同様にLauren Kinhanさん、Theo Bleckmannさん、Becca Stevensさんが参加し、ジャズボーカルをフューチャーした作品となっています。  Fメジャースケールでバンドが弾ける印象的な8小節のイントロダクション。ベースラインにピアノが乗り、シーラさんが歌い始めます。何やらおとぎ話を聞くときのような可愛らしい歌唱。verseからbridgeにかけての韻を踏んだ歌詞に引き込まれ、身体が音に合せリズムを刻みます。chorusはバンドメンバーによるバッキングボーカルが加わり、思わず楽しく歌い出します。  歌詞に記述のないシーラさんの歌唱パートにはネズミが踊り出す理由が語られています。要約すると、バースデーケーキを用意した家主の足下にネズミが踊りながら現れ、同じ日、同じ月、同じ年の誕生日を祝いに来たと告げます。日付は1928年11月18日...。そのシーンをイメージしながら楽曲を聞くと、何とも微笑ましくコミカルで洒落っ気のある楽曲に感じます。シーラさんのアドリブが小粋さに輪をかけます。  大江さんのYouTubeチャンネルではシーラ・ジ

Autumn Nocturne / 纐纈歩美 [music review]

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  纐纈歩美 (Koketsu Ayumi)による2018年3月発売のアルバム「アクアレール」からの1トラック。アルバムアートは纐纈さんの横顔のポートレイト。ボタニカルな髪のコサージュは背景のカラートーンと合せグリーン系でコーディネートされています。またLPのインナー/ライナーノートには異なるバージョンのショットが同封されています。  レーベルは Craftman Records 。録音は2017年5月10-11日、Yoyogi Studioにて行われ、エンジニアはKentaro Kikuchi氏。マスタリングは2017年7月、ポニーキャニオン・マスタリングルームにてYuta Tada氏、アナログ企画・監修は塙耕記氏がクレジットされています。纐纈歩美さんのセルフプロデュース作品です。        Autumn Nocturneはご存知、Josef Myrow作曲、Kim Gannon作詞のジャズスタンダードナンバー。古くはLou Donaldson、Art Farmer、Sonny Rollins等々...数々のミュージシャンやシンガーによってカバーされてきました。”Autumn Leaves”と並んで2大Autumn〜とでも申しましょうか。  ピアノのソフトなタッチのイントロダクション。ドラムのスティックブラシを叩く音がリズムを刻み出します。そしてアルトサックスがあたかも歌うように鳴り始めます。その音はハリがありますが、リリースのディテールがスモーキーに空間を漂い、歌詞にある哀愁を連想させる音色です。ボイスを超えたソロパートの音表現にしばし酔いしれます。  伴奏のピアノが美しく音階を駆け上り、コントラバスがアコースティックに深くドライに弦をつま弾き、ドラムがステーブルにライトに拍をとり、各パートがそれぞれの個性で主張する好プレイとバンドとしてのバランスのとれた一体感は耳あたりが良く、心地よく音楽に浸ることができます。そしてクリアーな音質。  アクアレール(透明水彩)。クリスタルのように透明なキャンバスにピュアな楽器の音色という水彩絵の具が広がり、そして所々に重なり混ざる。そのキャンバス全体を心を通して見れば、纐纈さんとKoichi Satoさん(piano)、Koji Yasudaさん(Bass)、Masanori

Souvenir de Florence (Allegro con spirito) / Unamas String Septet [music review]

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 Unamas String Septetによる2017年7月発売のアルバム「Souvenir de Florence (フィレンツェの思い出)」からの1トラック。アルバムジャケットはフィレンツェにあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のフォトグラフ。夕景と思しき街の空と山々のカラフルな美しいグラデーションのアートワーク。  レーベルは 沢口音楽工房・UNAMASレーベル 、 Ottava Records 。録音は2016年12月13-14日、長野県軽井沢・大賀ホールにて行われ、プロデューサー・レコーディング・ミキシング・マスタリングはMick Sawaguchi氏、レコーディング・ディレクターはHideo Irimajiri氏(Armadillo Studio)がクレジットされています。      弦楽器のフォルテで始まる印象的なイントロダクション。バイオリンの奏でる主旋律の随所にスフォルツアート。その音に滲みはなく、しかし単色ではなく僅かに重なる響きを持ち合せます。サポートするビオラ、チェロがリズムを作り、そしてこの弦楽の録音には7人目にコントラバスが加わり、さらに深い低域を豊かに表現しアンサンブルを形成しています。  やがてビオラとチェロが旋律を奏で始め、バイオリンやコントラバスと共に弦楽の掛け合いが始まります。弱音と撥音の明瞭で敏活なハーモニー、しなやかや質感の幾重もの弦音、伸びたり跳ねたり躍動する音の展開に耳を傾ければ、自然と胸が踊ります。再び冒頭の印象的な旋律に戻り、やがてドラマチックに急展開し爽快にラストを迎えます。まさにAllegro con spirito (快活に、生き生きと)。    UNAMASレーベルのYoutubeチャンネルでは収録時の模様をご覧いただくことができます。    作品全体を通してみても、フォルテやスタッカートなどアーティキュレーションが見えてくるような明瞭な音のディテール。またアンサンブルのプレーヤーが操リ出す楽器の持つ響きがホール空間に溶け合い、それを再現する部屋全体に音が広がります。視聴の際は自然にボリュームコントローラーのレベルを上げ、高精細なサウンドと卓越したプレイングに聞き入ります。  「Souvenir de Florence (フィレンツェの思い出

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