投稿

7月, 2017の投稿を表示しています

INFORMATION

お知らせ Google+API廃止の方針に伴いGoogle+アカウントによるコメント等は2019年3月以降、非表示になります。ご承知おき下さい。
お知らせ ページトップの「検索」のほか、サイドバーとページ中段にインデックスを設けています。

Latest Post

レビュー エドガー・モロー 無伴奏チェロ・リサイタル

イメージ
兵庫県立芸術文化センターで行われた「エドガー・モロー 無伴奏チェロ・リサイタル」へ行って参りました。10月に入り朝晩、窓から入る風には涼を通り越してやや寒さを覚え始めています。そんな週末の午後は突き抜ける青空に雲が気持ちよく浮かんで漂うような好天に恵まれました。公共交通機関を利用し、会場へと続く人波に続きます。

 広場前にはいつものようにダンス練習に励む若者たち。エントランスには忙しく行き交う人々とCD販売のブースに人だかりができていました。KOBELCO 大ホールには開演15分前に到着。座席は1階中央。ステージには背板のない椅子と低い譜面台のみ。年齢構成は幅広く子供の姿も目立ちました。

 開演を告げるアナウンスのあと客席が暗転。下手よりエドガー・モローさんがチェロを持ちステージに歩み寄ると客席は大きな拍手で迎えます。黒のスーツ、開襟の白シャツ、靴下は茶系のチェック柄、エナメルの黒靴。モローさんが客席に深々と一礼し、椅子に着座。いよいよ開演です。






 演目は
 ・J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
 ・J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009
  (休憩)
 ・J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012
 (アンコール)


 今回は2018年の兵庫県立芸術文化センター・KOBELCO大ホールでのリサイタル以来、同会場での2度目の観劇です。しかもオール・バッハの無伴奏チェロ組曲のプログラムはモローさんの魅力がより伝わってくることを期待し、と同時に無伴奏チェロ組曲の曲目自体への渇望を催し、胸が高鳴ります。





 バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番:お馴染みの旋律。チェロの胴鳴り豊かな響きがホールに満たされ、広い音域はステージ全体を楽器に見立てたかのような鳴り。プレリュードが終わったときに拍手したいくらい惹き込まれる演奏でした。バロック時代の空間を想像しながら現代の音をオーバーラップさせ聞いていました。

 バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番:第一番につづき、目を閉じるとあたかもアンサンブルで弾いているかのような錯覚、重奏感のある厚みを音に感じます。あまりにも心地よい響きにこくりこくりと舟を漕ぐ周囲の客席。夢うつつに近い現実に意識を置きつつも、モローさんが楽章の合間に額を拭う仕草が記憶に残ります。

 休…

Comptine d'un autre été : L'après-midi / Yann Tiersen [music review]

イメージ
1980-90年代は映画を最も観覧した時期かもしれません。とりわけセルジュ・ゲンズブール、ジャン・リュック・ゴダールのリバイバル上映、パトリス・ルコントなどのフランス映画はムーブメントの流れに乗り単館系映画館に足繁く通い、小さなホールの大画面でよく観た記憶が残っています。

 その中でパトリス・ルコントの映画音楽を多く手がけたマイケル・ナイマン作品はとくに意識することなく、その映画を観た記憶もシナリオも薄れつつあるなかで、なんとなく聞いたことがある、耳に残っている感覚があります。実際に彼の作品を自覚したのは少し後のことでした。




Yann Tiersen [Comptine d'un autre été : L'après-midi]


Yann Tiersenによる2001年発売のアルバム「Amelie from Montmartre」の中の1トラック。ジャン・ピエール・ジュネ監督のフランス映画「アメリ」のサウンドトラックです。タイトルに邦題を名付けるとすれば「過ぎ去りしあの夏の午後の歌」とでも申しましょうか。アルバムセールス200万枚を記録した作品ですので、このトラックもどこかで聞いたことがあるかもしれません。

 アートワークは主人公アメリ・プーラン(Audrey Tautou)の映画のビジュアルワークを採用しています。とてもチャーミングでポップなポートレイトです。と同時に1回見れば忘れないくらいのキャッチーさがあります。たしか映画館の壁面にはビビッドカラーの部屋でベッドに腰掛けているアメリのポスターがたくさん掛けてあったと思います。




 アルバム全体としてはピアノ、アコーディオン、バンジョーなど映画アメリの雰囲気を演出するネイティブでアコースティックな楽器が使われていますが、この楽曲(といくつか)はピアノ(と管弦楽など)だけで構成されています。ですからとりわけこの楽曲のピアノの旋律が印象付けられます。さまざまな楽器の演奏はヤン・ティルセン自身がおこなっているとクレジットに記載されています。

 MusicOMHではヤン・ティルセンのインタビュー「Interview: Yann Tiersen by Michael Hubbard | first published: 5 Sep 2002 in interviews」が掲載されています。その中でジュネ監…

The Heart Asks Pleasure First / Michael Nyman [music review]

イメージ
暑中お見舞い申し上げます。

 古典という言葉があります。学生さんには学校の授業の古文・漢文が思いつきそうです。古びた、古めかしいという比喩にもしばしばよく使われます。ある頃から以前の学問・学術であったり、芸能の分野では古きをなぞる所作であったりと、そういうときにも古典と称されることがあります。クラシック音楽も古典に該当する音楽ジャンルのカテゴリーです。

 それに対する言葉として、現代という単語を使うことがあります。形容詞で言えば現代的という言葉ですが、英語で言えばクラシカル(Classical)に対してモダン(Modern)、コンテンポラリー(Contemporary)。音楽ではポピュラーミュージック、POPsという言い方が自然かもしれません。今夏はポピュラーなクラシック系音楽、クラシカルなポピュラーミュージックをフューチャーしてみようと思います。



Michael Nyman [The Heart Asks Pleasure First]


Michael Nymanによる1993年発売のアルバム「The Piano」の中の1トラック。ジェーン・カンピオン監督の映画「ピアノ・レッスン」のあの曲と言ったほうが早いかもしれません。300万枚の大セールスを記録した作品ですので、どこかで聞いたことがある楽曲かもしれません。最近ではインターネットラジオのクラシック系チャンネルで流れていますので、前後のクラシカルな音楽と違和感のない選曲はご存知なければ気づかない現代音楽とも言えます。

 アルバムアートはさすがにサウンドトラックだけあって映画のビジュアルワークを採用しています。海とピアノはどこかで見たことのある構図ですが「The Piano」のストーリーがピアノと浜辺で関連していますので、そのミステリアスな雰囲気がよく出ています。映画はカンヌ・パルムドール、アカデミー賞・作品賞などに選出されています。




 音楽レビューですので映画のストーリーはエクスキューズするとして、何と言っても印象に残るピアノの旋律を弾くマイケル・ナイマン。pleasure(喜び)を題名にした楽曲ですが、どこか物悲しげな雰囲気もあり、演奏により穏やかさと激情という矛盾する感情をも連想させます。もしかしたら人間の喜怒哀楽を表現したのかもしれない、不思議な楽曲だといつも聴きながら感じています。

「The Heart…

コラム オーディオ・CD不況とミレニアル世代の関係

イメージ
ミレニアル世代が音楽消費しないという世界共通の課題について、アーティスト・レーベル・ディストリビュータ・サービスプロバイダは音楽消費方法を模索している状況です。その統計情報は以前、拙稿「MQAとStream The Studio」のコラムにおいて取り挙げましたが、彼らはスマホでYouTubeの音楽(ラインセンスのないものを含む)を聴く傾向にあります。そもそも音楽を買わなければ、ハイグレードなオーディオも買いません。


 オーディオはかつて耐久消費財でした。町の電気屋にハイグレードなオーディオが展示してあり、高校・大学を卒業、就職し結婚、二人家庭で先ず揃えるものの中にステレオセットがあり「いつかはクラウン」のような人生長期計画で段階的にオーディオ機器をアップグレードしていく価値観がありました。それは高度成長期、一億総中流時代の豊かさを象徴するシーン。オーディオ機器は真空管式からトランジスタ方式へ、機器が壊れたら町の電気屋さんやメーカーが家に来てメンテナンスするとういうものでした。

 やがて経済のバブル期が訪れます。人生長期計画で階段を一段一段登るようにオーディオをアップグレードしてきた慣習が変化し、マンガの両さんではないですが「いきなりクラウン」の時代になり、比較的若年層でも収入に余裕ができたのでハイグレードなオーディオを手に入れることができる様になります。オーディオ機器もマニア需要に応えるが如く物量投入した製品が供給されました。高級志向もさることながら一般家庭にさらに身近なゼネラルオーディオとして普及します。

 各社からレコード、カセット、コンパクトディスクプレーヤー、グラフィックイコライザー、サブウーファーを装備したセットコンポが発売されました。レギュラーサイズよりやや小ぶりで、客間やリビングではなく個室に置けるメディアムサイズ。そしてそれらは昔ほど壊れなくなりました。壊れても直すより買い換える。耐久消費財から消費財への変化です。この頃はまだ各種フィジカルメディアがよく売れていました。

 やがて国内経済はバブルがはじけ長期不況が訪れます(一般的に景気回復の実感がないという意味で)。サラリーマン家庭は家計を切り詰めるために耐久消費財の中から要不要なものを取捨選択することになります。その中で娯楽耐久消費財リストにオーディオが上位で入ることが無くなりました。オー…

Spanish Harlem / Rebecca Pidgeon [music review]

イメージ
2週にわたり続けていまいりましたMQA音源をフューチャーしたミュージックレビューは今回で最後になります。

Rebecca Pidgeonによる2017年6月発売の MQA-CD「The Raven」の中の1トラック。オリジナルは1994年発売の同名のアルバム「The Raven」にあります。ご存知、1960年代のベン・E・キングの名曲、作はJerry Leiber & Phil Spector。Chester Atkins、Aretha Franklin、Cliff Richard、Led Zeppelin等々のアーティストにカヴァーされてきました。

 まず「The Raven」はレベッカの1stアルバムであり、オーディオ愛好家の中では録音が良いとしてつとに有名な作品の一つです。アルバムアートにはレベッカ自身のポートレイト、ブックレットとメディアにはアルバムとトラックの一つであるレイヴン(カラス)のイラストがプリントされています。



Rebecca Pidgeon [Spanish Harlem]

 レーベルはアメリカ・Chesky Records。高音質録音の音源をリリースするインディペンデント系レーベルとしての知名度、その設立者であるDavid & Norman Chesky氏らはハイレゾ・ダウンロード配信サービスHDTracksの共同オーナーという肩書きでも有名で、あえて説明は不要でしょう。





 レベッカ・ピジョン、1stの魅力は透き通る張りのある声とアコースティックなピアノ、ギター、ベース、ストリングス、パーカッションなどの安定感のある楽器が支えるオーガニックな演奏。それらがスーッと見通し良く開けていくようなやさしく繊細で包み込まれるような聴き心地。ケルトな音楽性も特徴的です。とくに「Spanish Harlem」は声と楽器のソロパートが分かれているので、オーディオ試聴に使用される作品ということも頷けます。

 また彼女の楽曲を聴きながら、もし別のシンガーだったらどのように歌い仕上げるのかということを考えます。そうしたらあの歌はよりフォーキーに、この歌はよりジャジーに仕上がるのではないかと。それだけ彼女のシンガーとしてのアイデンティティとソングライターとしての才能が確立していることが、この「Spanish Harlem」がトラックとして存在して…

Kreisler/Vaneyev: Praeludium & Allegro / Dominic John [music review]

イメージ
国内外問わずハイレゾ・ダウンロード&ストリーミングサービスはチャレンジングな状況が続いています。そこにあってクリプトンHQMストアが6月30日を以ってハイレゾダウンロード配信サービス休止のニュース。HQMストアは大手資本がハイレゾダウンロード配信に参入する以前からそのサービスを行なっており、国内ハイレゾマーケットを牽引してきた先駆的存在であったことに異存はないところだと思います。

 HQMストアのカタログリストには貴重なアナログマスターをDXDデジタルマスター化した独自のマスター音源の配信や、CAMERATA Tokyo, UNAMASという良質な音源を供給し続けているレーベルの作品が並んでいただけに、今後はMQAを含めたレアなハイレゾ音源について、ぜひ他のディストリビュータが引き継いで頂けないものかと音楽ファンとして切に希望しております。




Dominic John [Kreisler/Vaneyev: Praeludium & Allegro]


Dominic Johnによるアルバム「WILD ABOUT TRANSCRIPTION...」の冒頭の1トラック。ご存知、Fritz KreislerのPraeludium&Allegro (邦題:プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ) をN.Vaneyevがトランスクリプションした楽曲です。まず海とピアノをモチーフにした幻想的な抽象絵画のようなアートワークに惹かれます。

 レーベルはイギリスのWillowhayne Records。ブックレットには録音場所とフォーマットが記載されています。スタインウェイ・コンサートグランドをロンドン・ハムテッド・ロスリンヒル教会にて、24bit/192kHzのフォーマットで収録したと記されています。ダンロード配信サービスHighresudioからのMQA版です。






 クライスラーの演目と言えばバイオリンなどの弦楽コンサートの常連ですが、トランスクリプションとは言わば編曲。その楽曲を鍵盤で弾くという趣向の作品です。冒頭から非常に印象的な旋律とエモーショナルな演奏に釘付けになります。そのテンションの上がった状態からやがて穏やかで軽やかな音色に変わるとリラックスし心身を音に委ねたくなります。そしてまたクライマックスまでダナミックな演奏が突き抜け、やがて最後は爽快…

ラベル別INDEX

もっと見る