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コラム No Audio Too Taboo - 公正さについて。ある視点から -

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今日、我々は日常的に多種多様な国内外の音響製品に接する機会があります。そしてそれに付随するサービスも一様ではなくまた異なります。たとえば製品管理において、シリアルナンバーのみ管理しているメーカー、シリアルは必須だが便宜的に顧客情報を管理しているメーカー、シリアルも顧客情報も一元管理するメーカーと姿勢は様々です。そこへ代理店が加わるとさらに複雑になるケースがあります。

 たとえば、とある海外メーカーが製品シリアルと顧客情報を一元管理していたとします。製品アップデート時には”必ず”シリアルと顧客情報が必要になります。故障等のサポートが必要な場合は代理店を通じてサービスを受けることになりますが、その際はさらに”代理店が発行した登録番号”と顧客情報が必要になります。代理店は中古品・二次流通品について原則的にサポート対象外とし、ユーザーが中古品を売買する際にはメーカーの顧客情報を自ら名義変更する必要があります。

 後者のような顧客管理は代理店の対応からサービスという要素以外に流通管理の側面が垣間見えてきます。経験上、メーカー代理店サイドの厳格な管理とユーザーサイドの融通はトレードオフを生じることがありますので、機能も含め顧客管理やサービスを変更する際には、メーカーサイドによるユーザーサイドへ丁寧な説明努力とユーザーの利益確認などのコミュニケーションは双方にとって合理的行動であり、これらは権利や規約などを持ち出すまでもなく、モラルや公正さという観点で然るべきことと捉えています。

 また、言うに及ばず国内外には組織・個人を含む複数のオーディオメディアが存在しています。彼らは日々リリースされるオーディオ機器・関連製品・イベントニュースのほか、レビュー・コラムを掲載しています。筆者の知るところでは、彼らのほとんどは紙媒体やWEB、SNS等のクロスメディアを採用し、プリントとデジタル・サブスクリプションサービスのために出版事業とWEBメディアの運営を行ない、我々オーディオファン、音楽愛好家はそれらの情報に日々接しています。

 我々が彼らメディアに期待することは何でしょうか。いち早くニュースを掲載する速報性、製品からサービスまで広く取り上げる総合性、情報に誤りがない確実性、複数の角度から観察する多面性、製品を高い知見で評価する専門性、様々な意見を受け入れる多様性、視点に偏りがない中…

Comptine d'un autre été : L'après-midi / Yann Tiersen [music review]

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1980-90年代は映画を最も観覧した時期かもしれません。とりわけセルジュ・ゲンズブール、ジャン・リュック・ゴダールのリバイバル上映、パトリス・ルコントなどのフランス映画はムーブメントの流れに乗り単館系映画館に足繁く通い、小さなホールの大画面でよく観た記憶が残っています。

 その中でパトリス・ルコントの映画音楽を多く手がけたマイケル・ナイマン作品はとくに意識することなく、その映画を観た記憶もシナリオも薄れつつあるなかで、なんとなく聞いたことがある、耳に残っている感覚があります。実際に彼の作品を自覚したのは少し後のことでした。




Yann Tiersen [Comptine d'un autre été : L'après-midi]


Yann Tiersenによる2001年発売のアルバム「Amelie from Montmartre」の中の1トラック。ジャン・ピエール・ジュネ監督のフランス映画「アメリ」のサウンドトラックです。タイトルに邦題を名付けるとすれば「過ぎ去りしあの夏の午後の歌」とでも申しましょうか。アルバムセールス200万枚を記録した作品ですので、このトラックもどこかで聞いたことがあるかもしれません。

 アートワークは主人公アメリ・プーラン(Audrey Tautou)の映画のビジュアルワークを採用しています。とてもチャーミングでポップなポートレイトです。と同時に1回見れば忘れないくらいのキャッチーさがあります。たしか映画館の壁面にはビビッドカラーの部屋でベッドに腰掛けているアメリのポスターがたくさん掛けてあったと思います。




 アルバム全体としてはピアノ、アコーディオン、バンジョーなど映画アメリの雰囲気を演出するネイティブでアコースティックな楽器が使われていますが、この楽曲(といくつか)はピアノ(と管弦楽など)だけで構成されています。ですからとりわけこの楽曲のピアノの旋律が印象付けられます。さまざまな楽器の演奏はヤン・ティルセン自身がおこなっているとクレジットに記載されています。

 MusicOMHではヤン・ティルセンのインタビュー「Interview: Yann Tiersen by Michael Hubbard | first published: 5 Sep 2002 in interviews」が掲載されています。その中でジュネ監…

The Heart Asks Pleasure First / Michael Nyman [music review]

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暑中お見舞い申し上げます。

 古典という言葉があります。学生さんには学校の授業の古文・漢文が思いつきそうです。古びた、古めかしいという比喩にもしばしばよく使われます。ある頃から以前の学問・学術であったり、芸能の分野では古きをなぞる所作であったりと、そういうときにも古典と称されることがあります。クラシック音楽も古典に該当する音楽ジャンルのカテゴリーです。

 それに対する言葉として、現代という単語を使うことがあります。形容詞で言えば現代的という言葉ですが、英語で言えばクラシカル(Classical)に対してモダン(Modern)、コンテンポラリー(Contemporary)。音楽ではポピュラーミュージック、POPsという言い方が自然かもしれません。今夏はポピュラーなクラシック系音楽、クラシカルなポピュラーミュージックをフューチャーしてみようと思います。



Michael Nyman [The Heart Asks Pleasure First]


Michael Nymanによる1993年発売のアルバム「The Piano」の中の1トラック。ジェーン・カンピオン監督の映画「ピアノ・レッスン」のあの曲と言ったほうが早いかもしれません。300万枚の大セールスを記録した作品ですので、どこかで聞いたことがある楽曲かもしれません。最近ではインターネットラジオのクラシック系チャンネルで流れていますので、前後のクラシカルな音楽と違和感のない選曲はご存知なければ気づかない現代音楽とも言えます。

 アルバムアートはさすがにサウンドトラックだけあって映画のビジュアルワークを採用しています。海とピアノはどこかで見たことのある構図ですが「The Piano」のストーリーがピアノと浜辺で関連していますので、そのミステリアスな雰囲気がよく出ています。映画はカンヌ・パルムドール、アカデミー賞・作品賞などに選出されています。




 音楽レビューですので映画のストーリーはエクスキューズするとして、何と言っても印象に残るピアノの旋律を弾くマイケル・ナイマン。pleasure(喜び)を題名にした楽曲ですが、どこか物悲しげな雰囲気もあり、演奏により穏やかさと激情という矛盾する感情をも連想させます。もしかしたら人間の喜怒哀楽を表現したのかもしれない、不思議な楽曲だといつも聴きながら感じています。

「The Heart…

コラム オーディオ・CD不況とミレニアル世代の関係

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ミレニアル世代が音楽消費しないという世界共通の課題について、アーティスト・レーベル・ディストリビュータ・サービスプロバイダは音楽消費方法を模索している状況です。その統計情報は以前、拙稿「MQAとStream The Studio」のコラムにおいて取り挙げましたが、彼らはスマホでYouTubeの音楽(ラインセンスのないものを含む)を聴く傾向にあります。そもそも音楽を買わなければ、ハイグレードなオーディオも買いません。


 オーディオはかつて耐久消費財でした。町の電気屋にハイグレードなオーディオが展示してあり、高校・大学を卒業、就職し結婚、二人家庭で先ず揃えるものの中にステレオセットがあり「いつかはクラウン」のような人生長期計画で段階的にオーディオ機器をアップグレードしていく価値観がありました。それは高度成長期、一億総中流時代の豊かさを象徴するシーン。オーディオ機器は真空管式からトランジスタ方式へ、機器が壊れたら町の電気屋さんやメーカーが家に来てメンテナンスするとういうものでした。

 やがて経済のバブル期が訪れます。人生長期計画で階段を一段一段登るようにオーディオをアップグレードしてきた慣習が変化し、マンガの両さんではないですが「いきなりクラウン」の時代になり、比較的若年層でも収入に余裕ができたのでハイグレードなオーディオを手に入れることができる様になります。オーディオ機器もマニア需要に応えるが如く物量投入した製品が供給されました。高級志向もさることながら一般家庭にさらに身近なゼネラルオーディオとして普及します。

 各社からレコード、カセット、コンパクトディスクプレーヤー、グラフィックイコライザー、サブウーファーを装備したセットコンポが発売されました。レギュラーサイズよりやや小ぶりで、客間やリビングではなく個室に置けるメディアムサイズ。そしてそれらは昔ほど壊れなくなりました。壊れても直すより買い換える。耐久消費財から消費財への変化です。この頃はまだ各種フィジカルメディアがよく売れていました。

 やがて国内経済はバブルがはじけ長期不況が訪れます(一般的に景気回復の実感がないという意味で)。サラリーマン家庭は家計を切り詰めるために耐久消費財の中から要不要なものを取捨選択することになります。その中で娯楽耐久消費財リストにオーディオが上位で入ることが無くなりました。オー…

Spanish Harlem / Rebecca Pidgeon [music review]

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2週にわたり続けていまいりましたMQA音源をフューチャーしたミュージックレビューは今回で最後になります。

Rebecca Pidgeonによる2017年6月発売の MQA-CD「The Raven」の中の1トラック。オリジナルは1994年発売の同名のアルバム「The Raven」にあります。ご存知、1960年代のベン・E・キングの名曲、作はJerry Leiber & Phil Spector。Chester Atkins、Aretha Franklin、Cliff Richard、Led Zeppelin等々のアーティストにカヴァーされてきました。

 まず「The Raven」はレベッカの1stアルバムであり、オーディオ愛好家の中では録音が良いとしてつとに有名な作品の一つです。アルバムアートにはレベッカ自身のポートレイト、ブックレットとメディアにはアルバムとトラックの一つであるレイヴン(カラス)のイラストがプリントされています。



Rebecca Pidgeon [Spanish Harlem]

 レーベルはアメリカ・Chesky Records。高音質録音の音源をリリースするインディペンデント系レーベルとしての知名度、その設立者であるDavid & Norman Chesky氏らはハイレゾ・ダウンロード配信サービスHDTracksの共同オーナーという肩書きでも有名で、あえて説明は不要でしょう。





 レベッカ・ピジョン、1stの魅力は透き通る張りのある声とアコースティックなピアノ、ギター、ベース、ストリングス、パーカッションなどの安定感のある楽器が支えるオーガニックな演奏。それらがスーッと見通し良く開けていくようなやさしく繊細で包み込まれるような聴き心地。ケルトな音楽性も特徴的です。とくに「Spanish Harlem」は声と楽器のソロパートが分かれているので、オーディオ試聴に使用される作品ということも頷けます。

 また彼女の楽曲を聴きながら、もし別のシンガーだったらどのように歌い仕上げるのかということを考えます。そうしたらあの歌はよりフォーキーに、この歌はよりジャジーに仕上がるのではないかと。それだけ彼女のシンガーとしてのアイデンティティとソングライターとしての才能が確立していることが、この「Spanish Harlem」がトラックとして存在して…

Kreisler/Vaneyev: Praeludium & Allegro / Dominic John [music review]

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国内外問わずハイレゾ・ダウンロード&ストリーミングサービスはチャレンジングな状況が続いています。そこにあってクリプトンHQMストアが6月30日を以ってハイレゾダウンロード配信サービス休止のニュース。HQMストアは大手資本がハイレゾダウンロード配信に参入する以前からそのサービスを行なっており、国内ハイレゾマーケットを牽引してきた先駆的存在であったことに異存はないところだと思います。

 HQMストアのカタログリストには貴重なアナログマスターをDXDデジタルマスター化した独自のマスター音源の配信や、CAMERATA Tokyo, UNAMASという良質な音源を供給し続けているレーベルの作品が並んでいただけに、今後はMQAを含めたレアなハイレゾ音源について、ぜひ他のディストリビュータが引き継いで頂けないものかと音楽ファンとして切に希望しております。




Dominic John [Kreisler/Vaneyev: Praeludium & Allegro]


Dominic Johnによるアルバム「WILD ABOUT TRANSCRIPTION...」の冒頭の1トラック。ご存知、Fritz KreislerのPraeludium&Allegro (邦題:プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ) をN.Vaneyevがトランスクリプションした楽曲です。まず海とピアノをモチーフにした幻想的な抽象絵画のようなアートワークに惹かれます。

 レーベルはイギリスのWillowhayne Records。ブックレットには録音場所とフォーマットが記載されています。スタインウェイ・コンサートグランドをロンドン・ハムテッド・ロスリンヒル教会にて、24bit/192kHzのフォーマットで収録したと記されています。ダンロード配信サービスHighresudioからのMQA版です。






 クライスラーの演目と言えばバイオリンなどの弦楽コンサートの常連ですが、トランスクリプションとは言わば編曲。その楽曲を鍵盤で弾くという趣向の作品です。冒頭から非常に印象的な旋律とエモーショナルな演奏に釘付けになります。そのテンションの上がった状態からやがて穏やかで軽やかな音色に変わるとリラックスし心身を音に委ねたくなります。そしてまたクライマックスまでダナミックな演奏が突き抜け、やがて最後は爽快…

ラベル別INDEX

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