偶然が重なるということが稀にあります。それは良いことでも悪いことでも生じますが、前者であれば”盆と正月が一緒に来た”というたとえは古めかしい言い方で、今日的には「キてる・ツイてる」なんて表現するのかもしれません。二重にも三重にも喜ばしい幸せの連鎖が生じる、出会う、縁があると捉え得ることは現実に起こり得ることです。
たとえば良いと思う曲に出会ったとき、頭のメモリに一旦インプットされストレージの奥底に保存され、ふとした心のスイッチが入ったときに頭の中に展開される。そしてじっくり聞いてみたいとモチベーションが動き出す。なぜ今なのかと理由を問われても「ずっと気になっていた」「ただ聞きたい」という答えが率直なところです。
それは時間軸で「良いな」と「聞いてみたい」が繋がった瞬間です。その瞬間の偶然が重なったときが
先日のコンサート でした。行くことが決まったとき、これは運だなと思いました。曲を聞いたとき、これは縁だなと思いました。そのストーリーの全てをブログで語り尽くすことはできませんが、今回は一つの切り口で音楽レビュー的なコラムです。
remain〜心の鍵 [小柳ゆき]
小柳ゆき 2002年発売のアルバム「
buddy 」の中の1トラック。2001年 先行シングルとして同名でリリースされています。作詞: 小柳ゆき, Lightcha、作曲: 清水泰明、編曲: T.Nishigaki, 弦一徹、とアルバムにはクレジットされています。清水氏と弦氏は現役のヴァイオリニストでありアレンジャーのようです。
彼女の最大のヒットソングと言えば「あなたのキスを数えましょう〜You were mine〜」が有名ですが、なぜか「remain〜心の鍵」は頭のストレージのどこかに収納されていた曲でした。それが15年間かどうかは定かではありませんが、ビルボード フェスティバルのときに思わず再会し、心の鍵が解き開き感情が抑えきれなくなりました。幸いなことに客席は暗く人目を憚ることなく思う存分に涙を流すことができました。
Something New [福原美穂]
VIDEO
福原美穂 2015年発売のアルバム「
Miho Fukuhara Live in Music 」の中の1トラック。同年、先行リリースEPシングル「Something New」としてバンド、英語バージョンがリリースされています。作詞作曲: Broken Mantra, Sandi Thom, John McLaughlin, Nicky Cook, カミカオルという方々がクレジット。
福原美穂の作品に接したのは1stアルバム「
RAINBOW 」に収録されている「LOVE ~winter song~」だったような記憶です。彼女は声が魅力的でハリのある声を高く伸ばしたり抑えたりと、自由自在の歌唱の高さに心が捉えられました。コンサートでは別の曲を聞きましたが、空間を彼女の空気に変えるパフォーマンスに圧倒され、心のメモリと同じ歌声が再現されました。
動画はEPシングルバージョン、ビルボードTOKYOでのアコースティックライブの収録「
Something New 」はAmazon Recordsレーベルの音源です。
SWEET 19 BLUES [安室奈美恵]
安室奈美恵 1996年リリースのアルバム「
SWEET 19 BLUES 」と同名のタイトル。同年シングルカットされています。クレジットは作詞・作曲・編曲: TETSUYA KOMURO。当時は小室&アムラーブームでしたのでアイドルのトラックかつメジャーヒット曲の印象が強い作品ですが、カラオケで流れるこのトラックのリズムやメロディは他と一線を画す横揺れのトラック。今聞いてもカッコいいブルースアレンジです。
この楽曲はリリース日が一番古いので頭のストレージに保存されていた期間も音源としてCDラックに保存している期間も長いトラックです。もしかしたらパパママ世代の懐メロとしてしかご存知ない読者の方もいるかもしれません。その世代の君と同じ世代だった安室さんが当時思いを込めて歌った曲だとして聴いたら、一体どう聞こえているのでしょうね。
さて、3人のR&Bシンガーのバラードを一つづつご紹介しました。そのうち2人は初めて生歌に接することができましたが、歌声が目立つ場所においてオーケストラの演奏をバックに、彼女らは”オーケストラの中でのボーカル”のバランスを意識したと思われるテクニックが垣間見え、本当に上手いシンガーだと感心しました。またたとえ15年前の歌を聴いても懐かしさや色褪せではなく、心揺さぶらせるパフォーマンスがありました。
この投稿の下書きは安室奈美恵さんが引退発表する前に書いたもので、いつ投稿しようかと考えていたところに「偶然」のニュースを知り少しタイミングがズレましたが取り上げてみました。10代の頃、音楽の引き出しはできるだけ多い方がいいと聞いたことがありますが、今それを思い返すと「聞きたい・聞いた」と引き出しを増やしてきたつもりでいたのは自惚れで、引き出しを増やし続けていたのはアーティストの方だったとの思いに至った今日この頃です。
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