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コラム サンシャイン


深い緑の中をゆっくりと縫うように走る電車。車窓からは瑠璃と紺碧の水平線が時折り垣間見える。太陽はすでに高く輝き、紫外線は窓を通して左腕に照りつける。僕は2泊3日の夏合宿を終え、青春18きっぷを利用した普通電車での帰路にあった。 



「せんぱい?」
横を見ると後輩がひとり、僕の顔を覗き込んでいた。
「奴ら、うるさいだろう?」と返すと、クスッと笑う。

「一番前からの写真を撮りたくて」
「座る?」と僕は隣に視線をやる。
「はい」




「あっという間だったね」窓外の景色を眺めながら呟く僕。
「楽しかったです」
「朝まで浜で遊んでいた奴がいるんだって」と僕。
「そうなんですか?」
「馬鹿だよね」と僕。二人で笑う。

「先輩、何を聴いているんですか?」
「聴く?」僕はイヤホンを外し、左側を手渡し、右側を右耳に付け換えた。




窓外の風景はいつのまにか街に変わっていた。
僕らはいつのまにか音楽と電車のリズムで夢の中へ誘われていた。
隣に座っている後輩の頭が僕の肩に寄りかかっている。

車両連結部分のドアが開いた音で僕らは背筋を伸ばした。
携帯には彼女からメールが届いていた。
「ナツヲオウカシテキタ?」

「先輩は学校に寄りますか?」
「家に帰るけど?」と僕。
「私もです」




電車がターミナル駅に到着し夏合宿は解散した。
乗り継ぎホームの向かいには6、7人の部員たち。
皆、うちわをあおいでいる。

エアコンの効いた電車に乗車し横並びに座る。
「つづき、聴く?」と僕。
やがて駅に到着し、後輩はイヤホンの片方を返すと一礼し下車した。




僕が手を振ると、手を振り返した。
もうすぐ暑い夏が終わる。



 *この物語はフィクションです。




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