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レビュー MQAライブストリーミング解説 - Mick沢口氏インタビュー

MQAライブストリーミング イメージ

 2018年11月16日、世界で4例目となるMQA Live Streaming(以下、MQAライブストリーミング)のデモンストレーションがInterBEE 2018 コンファレンススポンサーセッション会場(千葉・幕張メッセ)で行われました。また同時刻に2018東京インターナショナルオーディオショウ(東京国際フォーラム)の会場内2ブースにもストリームされ、期せずしてブレークのない優れた音質のMQAライブストリーミングに遭遇した読者もいることでしょう。

 以前はロンドンからのMQAライブストリーミングでしたが、4回目は東京・銀座の音響ハウススタジオからのライブ配信。しかも録音・配信のホスト役を担ったのは沢口音楽工房・UNAMASレーベル代表の沢口"MICK"真生氏。沢口氏と言えば、いま話題のMQA-CDのパイオニアの一人とも言える人物(*1)。そこで沢口氏にMQAライブストリーミングを探るべくおたずねしたところ、ご多忙にも関わらず解説して頂き、たいへん興味深い内容でした。

 そしてこの度、沢口氏によるMQAライブストリーミング解説を当ブログで記事にさせて頂くことになりました。記事化にあたりまして、読者の皆さんに伝わりやすいようコンテキストが掴めるQ&A形式を採用させていただいております。MQAライブストリーミングって何?どのような仕組みなんだろう?解像度は?今後の展開は?等々、素朴な疑問を元に質問いたしましたので、概要は掴めるものと考えています。なお一部内容は構成の都合上編集させて頂いております。

*音響ハウス・スタジオ収録時の模様の写真を追稿致しました。沢口様、ありがとうございます(2018/12/10)。



 スタジオ内リハーサルの風景 写真提供:沢口氏 (以下同)



 Q1 MQAライブストリーミングが成功しました。率直な感想をお聞かせ下さい。( - INORI、以下同)

 沢口氏「世界で4例目となるMQA LIVEストリーミングが成功したことを嬉しく思っています。通常のインターネット回線で192kHz/24bitのまさにマスター音楽がユーザーへ届けられるという、すごい時代だと実感しました。またBob (Stuart氏 *2)がロンドンからだけでなく次のストリーミングを日本から行ったことも嬉しいですね。」





 Q2 ロンドンではなく東京・音響ハウスからのMQAライブストリーミングでした。その経緯は?

 沢口氏「昨年(2017年)のInterBEEセミナー後にBob (Stuart氏)から次回(2018年)は日本からやりたいと思うので手伝って欲しいとリクエストがありました。どのイベントでやるかを今年の春にMQA JAPANの皆さんが検討し、今回は制作者向けにやろうということで11月のInterBEEで実施となりました。どこからがいいかとか、どんな音楽がいいかはMICKに一任するということで、私が信頼する音響ハウススタジオでJAZZのスタンダードをLIVEしました。」(*3)
 
 「事前テストは2回実施、先ず私のHome Studioに機材を設置し、私のDAWからUNAMAS音源を192kHz/24bitでAD - Enc - Internet - PC (Software) - MQAデコードでテスト。問題ないことを確認。(あっけないほどで終わりました)」





 「2回目は本番前日に実際の音響ハウススタジオにてテスト。やはりUNAMAS音源(今回演奏していただいた清水絵理子さんのAFTER GLOWアルバムを使用)をADし、テストしチェックはスマホとロンドンMQA Officeで検証しました。」





 「当日は10:00 - 12:00で海外の検証用にテスト音源をストリーミングし本番に備えました。LIVEの進行はこれまで3回のLIVEを担当したMQAのSpencer氏が来日、仕切りを行っています。」



MQAライブストリーミング・オンエア中



 Q3 今回の大まかな伝送経路と機材(MQAリアルタイムエンコーダー含む)、 Q4 スタジオでの演奏者とマイクの位置を教えて下さい。



 沢口氏「Q 3-4をまとめた系統図です。」

図2 沢口氏提供 スタジオ 機材配置図(上)、機材系統図(下)
  編集者注:上図、白丸はPianoがEriko Shimizu氏、SaxがMabumi Yamaguchi
下図、A/DがADコンバータ、MQA-ENCがMQAリアルタイムエンコーダー



MQAライブストリーミング用機材
2Uラック内のギアがMQA-ENC本体 - 1Uサイズ



Q5 今回のエンコード/デコードスペック、理論上最大のエンコード/デコードスペック(bit/freq)を教えて下さい。


 沢口氏「今回は192kHz/24bitで録音伝送(48kHz/24bit MQA Enc)を会場でデコードして192kHz/24bit再生です。エンコーダーは以下のスペックを持っており、軽い伝送からハイレゾまで対応しています。コンテナの基本はFLACです。」

Input Sample Rate Output Sample Rate
44.1kHz, 88.2kHz, 176.4kHz 44.1kHz
48kHz, 96kHz, 192kHz 48kHz
図3 In/Out Sample Rate



 Q6 受信側の会場 (幕張メッセ・東京国際フォーラム)の機材を教えて下さい。

 MQA Japanさん提供の情報です。

 幕張メッセ会場:
 

PC (Software) - Meridian UltraDAC (MQAフルデコード対応) - LUXMAN プリメインアンプ - DIATONEスピーカー

 東京インターナショナルオーディオショウ会場:


 エソテリック:PC (Software) - ESOTERIC N-03T ネットワークオーディオトランスポート (MQAコアデコード対応) - ESOTERIC 再生システム - スピーカー



 トライオード:PC (Software) - Cocktail Audio X45PRO マルチメディアプレーヤー (MQAフルデコード対応) - TRIODE 管球アンプ - SPENDORスピーカー



 インターナショナルオーディオショウの2社のDAC以降(アナログ信号以降)は試聴のためにアンプとスピーカーはいくつかの製品を切り替えて使っているかもしれません。



沢口氏とスペンサー氏



 Q7 収録・キャストのホストとして特に気を使ったことはありますか?


 沢口氏「事前テストで音響ハウスのインターネット回線が400GB回線でしたので特段問題なくサクサクストリーミングしました。スタジオ内でミュージシャンがリラックスして演奏してくれるような雰囲気作りをしたくらいです。MCは海外でも聞いているのでバイリンガル(2ヶ国語)にしました。
」





 Q8 MQAライブストリーミングはデコーダーが無くても音質は向上しますか?


 沢口氏「De-Blur機能はエンコーダー内で働いていますので、48kHz/24bitで聞いても音質は安定していると思います。
」




 Q9 MQAリアルタイムエンコーダーにADC(ADコンバータ)の制限はありますか?


 沢口氏「Bob (Stuart氏)に質問したところ、エンコード時に使うADCはなんでも良いそうです。MQAのオススメで信頼があるのはMYTEKだそうです。」



MQAライブストリーミング・スタジオスタッフ&キャスト



 
Q10 ハイレゾ・ライブストリーミングの時代に入ります。率直な感想は?

 沢口氏「LIVE会場の収容容積は限りがありますので、こうしたストリーミングで多くのユーザーが家庭でも演奏を聴ける時代が来たと実感します。送る会場もインターネット回線があれば実現できるという点でフットワークが良いですね。あとはアーティスト側がどんな反応を期待するかではないでしょうか? カラヤンが生きていれば真っ先にやったでしょうね。松本記念オーケストラやBlue Note TOKYOなどのLIVEが聴けると良いですね。私などは個人的にN.YのJazz ClubやLincoln Centerで行なわれているLIVEなど聞いてみたいです。」





 Q11 24bit/48kHz伝送は映像分野への波及も考えられます。今後の展望は?

 沢口氏「4K、8K時代のコンテンツに軽く高品質というのはマッチしますが、放送電波は総務省が認定しないと実現できませんので、それ以外なら大いに実現できると思います。

」



 Q12 MQAライブストリーミングを行いたい場合、どうしたらいいですか?

 沢口氏「現状はデモ機があるだけですが、MQA JapanのBIKE鈴木氏に相談してください。」
 

 そのほか、今回のMQAライブストリーミング音源の販売プランは?
との問いには、判断はMQA側にあるが、関係先への各種アプルーブ等の環境が整えばMQA-CD化につながるかもしれないとの含みがありました。


 さて、いかがでしたでしょうか。MQAは24bit/192kHzのハイレゾリューションの音源をエンコードすれば24bit/48kHzへとパックされ、ビットレートを節約しインターネットやUSB等で伝送しやすいことから、MQAライブストリーミングはその高い汎用性のメリットを活かしハイレゾ・ライブストリーミングを具現化したものだと言えます。

 送信側はADCに特別の制限はなく、沢口氏が提示した系統図(図2)には複数のチャンネルのマイク等入力があるものの、ミキサー以降はADコンバータ、AES/In、MQAリアルタイムエンコーダー、LAN/Inと極めてシンプルな構成であり、音響ハウススタジオこそ400GBのインターネット回線でしたが、テストでは沢口氏のホームスタジオからのキャスト。

 受信側はインターネットに繋がったPCとソフトウェア(*4)、そしてMQAデコード対応DACがあればMQAライブストリーミングを享受できるという。ビットレートは約1.5Mbps程度と負荷が低く、コンテナの基本はFLACなのでメタデータも付加され、しかもMQA対応DACがなくてもDe-Blur機能は働いているという。

 こうしてみればMQAライブストリーミングはいとも簡単と言いたいところですが、沢口氏はMQAや録音・伝送も含め高度な知識や技術をお持ちのエキスパートであり、とくに良質の音声には録音に相応のスキルが必要と筆者は考えます。かたや沢口氏の”当日に気を使ったことはスタジオ内でミュージシャンがリラックスして演奏してくれるような雰囲気作りをしたくらい”との言葉が印象的です。
 
 さて今後のMQAライブストリーミングが気になるところですが、MQA Japanさんに伺ったところ、InterBEE 2018 コンファレンススポンサーセッションでのデモンストレーションは主に音楽産業の制作側サイドへのアピールとして行われ、参加者の皆さんからは評価を頂くなど反響があり、さまざまな場面での活用の提案があったそうです。また今後はリスナーサイドへの提供も検討していくそうです。

 MQAはストリーミングサービス・TIDALとダウンロード配信から始まり、MQA-CDへと展開しました。そこにハイレゾ・ライブストリーミング時代の幕がいま明けようとしています。2019年以降はライブ演奏のエンターテイメント性を自宅のリビングルームやプライベートルームで体験できる高品位でエキサイティングなMQAライブストリーミングがいよいよ身近になるかもしれません。期待したいと思います。

 最後に、今回のインタビュー企画の機会を頂きました(有)沢口音楽工房・UNAMASレーベル代表・沢口真生氏、ならびにMQA Japanさんへ感謝申し上げます。



 
 *1:沢口真生氏著「サラウンド寺子屋塾 5.1 Surround Terakoya Lab」ではMQA技術とMQA-CD制作フローがご覧いただけます。
 *2: Bob Stuart氏はMeridian Audio社の創業者であり、現在MQA Ltd.のCTO(最高技術責任者)です。
 *3:MQA Japanさんによると早期の実現も不可能ではなかったそうですが、企画をInterBEEまであたためて実施したそうです。
 *4: ソフトウェアは一般的なネットワークストリーム対応プレーヤーで可能だそうです。




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