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レビュー Mytek Brooklyn DAC+ Part2 測定編

Macminiにある各音源をAudirvana Plusで再生、Brooklyn DAC+でD/A変換、ダイレクトにケーブル接続したElement24でA/D変換、Macbook ProのMusicscopeで確認します。簡易測定-1はA/D後にAIFFで録音した結果、簡易測定-2はリアルタイムアナライズの結果です。

 結果がわかりやすいよう比較機種として同時に愛用しているMeridian Explorer2を用います。リスニング音源はMQAフルデコードを行うと24bit/352.8kHzのレゾリューションまで展開しますが、Explorer2とADコンバータのスペック上限から測定は24bit/192kHzまでの範囲とします。



簡易測定-1



 周波数スペクトルのピーク比較:
 上段:MQA音源, MQA有効、DAC+(黄色) Explorer2(赤色)
 下段:24bit/192kHz, APDZ:DAC+(黄色) Explorer2(桃色)

 MQAと24bit/192kHzの各音源によるBrooklyn DAC+とExplorer2の周波数スペクトルはどちらも可聴帯域22.05kHzを超えて35kHz付近まで黄色のラインのピーク・ディップに赤・桃色の波形が重なるように現れています。MQAは録音に1.0dBのゲイン差が生じミキサーでレベル調整しましたが高調波側に若干の差分が残っています。



エピソード

 今回の主旨とは逸れますが、前回のリスニング編の各種フィルタについて理解しやすいようBrooklyn DAC+のPCMフィルターを視覚化してみました。




 一番急峻な青色がBRCK(ブリックウォール)、次に急峻なピンク色がAPDZ(アポダイジング)、赤色がSRLP(シャープロールオフ・線形位相)、緑色がSRMP(スローロールオフ・最小位相)、黄色がMQA(最小位相)です。周波数特性を優先する場合はブリックウォールや線形位相、時間軸特性を優先する場合は最小位相フィルタを適用することが一般的とされています。

 アポダイジングフィルタは周波数特性では線形位相に近く時間軸特性では最小位相に近いフィルタで、Explorer2ではMQA以外のPCM入力はアポダイジングフィルタが適用されます。SRMPはインパルス応答がMQAフィルタに近い動作ですが、例えばAyre Acousticsなど…

レビュー Mytek Brooklyn DAC+ Part1 リスニング編


 Mytek Digital社(以降、Mytek)の製品は過去に一度購入を検討したことがあります。24bit/96kHzのフォーマットを処理するDAコンバータが手の届く価格帯で出始めた2009年頃です。比較機種のメーカーはLavry Engineering社, Benchmark Media Systems社...。中でも当時からインターフェースやフォーマットを積極的に取り入れるMytekの先取性は以後、DSDが提唱された際の対応も早いものでした。

 そしてこのたび、米ニューヨーク・ブルックリンに本社を構えるMytekは、MQAにいち早く対応したメーカーの一つに数えられるようになりました。その他のメーカーとしてはMQAを開発したボブ・スチュアート氏が創業したMeridian Audio社、カナダのNAD社・Bluesoundグループ。いずれもハードウェアのみならずソフトウェア・エンジニアリングにおいても技術力の高さが現在評価されているメーカーです。

 さて、Mytekのカタログリストには最新機種であるManhattan DACⅡ, Brooklyn DAC+, Liberty DAC、そしてStereo192-DSD DACがラインナップされています。Stereo192-DSD DACは2012年に国内リリースされた機種でDAC市場にセンセーションを起こしたESS Technology社のSaber DACチップを実装したことがトピックスとなったことは記憶に新しいところです。

 そのStereo192-DSD DACの進化系としてDXD, MQAに対応し、本社の地名を冠したBrooklyn DACがリリースされた頃からD/Aコンバータの検討を始め、Brooklyn DAC+としてブラッシュアップした機会に導入いたしました。Brooklynからの改良点は以下のようにD/A以降のアナログ段の強化が挙げらてれいます。DAC+でなくても十分高音質という巷のレビューがありますが、Brooklynが一応リプレイスされた形のようです。
 
・Sabre ES9028PRO (旧モデルは9018)
・アナログボリューム回路
・アナログ入力
・フォノステージ
・ヘッドフォンアンプ
・デュアルモノアナログ回路

 先ず外観ですが、BrooklynからMytek製品のイメージを刷新するエレガントなフロントフェイスパネル。凸凹のテクスチャには惹かれますが、右に大きなロータリーノブ、中央に視認性の高いカラーディスプレイ、左右にコントロールスイッチ、左にヘッドフォンアウトとファンクション関係がミニマルにレイアウトされています。後述しますが、このパネルは機能的に優れています。



 トップパネルはマットグレー配色のシャーシにBrooklyn DAC+の文字、Mytekの頭文字Mを象った放熱穴はボトムプレートにも設けられています。Manhattanで採用されているフロントと同じデザインのサイドパネルは省略されていますが、Brooklyn ADCなど同じハーフラックサイズのギアを横に設置するプロユースを想定すれば合理的なコストダウンと考えます。



リアパネルは左からXLRバランスアウト、RCAアナログアウト、RCAアナログイン(フォノ入力兼用)、AESデジタルイン、S/PDIFイン(DSD入力兼用)、ワードクロックイン/アウト、USBイン(アウト兼用)、OPTICALイン、フォノグラウンド、12V DC(外部電源用)、電源入力コネクタが配置されています。リアからはハーフラックサイズながら多機能であることが伝わってきます。電源はスイッチング電源です。




 必要な配線を行なった後、マニュアルに沿い先ずはMytek公式ウェブサイトからUSBドライバ(Macは不要)、MytekControlPanelをダウンロード、ユニットを最新のファームウェアへとアップデートいたします。フロントパネルのM文字が点滅しユニットがリブートすれば最新のサービスです。設定は全てPCのMytekControlPanelから調節できます。またDAC+のフロントパネルのフィジカルスイッチからも同様の設定が可能です。




 DAC+のフロントパネルディスプレイの左右に配置された各2つのファンクションボタンで詳細設定メニューを指定できます。右のロータリーノブは長押しすると電源スタンバイ、メニューを変更する場合は左右に回転、プッシュすると設定をON/OFFすることになります。この機能は同様のディスプレイとフィジカルスイッチを持つ他社のギアよりも合理的にできており、かなり使いやすいと感じました。

 またBrooklynからの変更点として、プロユースのギアということで出力ゲインが高めに設定されていますが、ゲイン調整の際にシャーシを開けて基板のディップスイッチを変更する必要があったものを、DAC+ではファームウェア1.21からコントロールパネルのトリム設定でゲイン調整を行うようになりました。プリアンプモードだけでなくBypassモードでゲインが高い場合にも32bitデジタルボリュームでトリム調整することになります。

 そしてDAC+はMQAデコードを有効にした場合の最小位相フィルタの他、DSDフィルタ、7種類のプリセットPCMフィルタを設定できます。MQAデコードを有効にした場合、ミニマムフェーズフィルタに設定され他のフィルターは適用されません。

・MQA (MQAデコーダ有効の場合、ミニマムフェーズ)
・DSD (Low, Medium, High)
・BRCK (ブリックウォール)
・HBRD (ハイブリッド、ファーストロールオフ・ミニマムフェーズ)
・APDZ (アポダイジング、ファーストロールオフ・リニアフェーズ)
・SRLP(スローロールオフ・リニアフェーズ)
・FRLP (ファーストロールオフ・リニアフェーズ)
・SRMP (スローロールオフ・ミニマムフェーズ)
・FRMP (ファーストロールオフ・ミニマムフェーズ)
 
 
 現行のMytek製品はMQAデコード対応DACとしての訴求力や関心が高い製品ですので、MQAデコードを中心にPCM, DSD音源再生を通して音の視聴と測定で評価を行い、併せて他機能で特筆すべき点をご紹介して参りたいと思います。


 テスト環境:
 Storage: Macmini
 Software Player: Audirvana Plus 3
 DAC: Mytek Brooklyn DAC+, Meridian Explorer2
 ADC: Apogee Element24
   Analyze: MacbookPro, MusicScope, Audacity
 Amplifier: Accuphase E-360
 Speakers: Brodmann F2
 Headphone: AKG K240MK2
 Cable: AudioTechnica AT561A, Mogami 2497
 
 Audirvana Plusの主要設定:
 MQA Decoder Device
 DSD over PCM standard1.1
 Exclusive access mode
 Use CoreAudio I/O buffer
 Integer mode
 Sample Rate Converter: Apple CoreAudio

 テスト内容:
 1. スピーカーとヘッドホンによるリスニング
 2. Brooklyn DAC+ 測定




 テスト音源は2LのTest BenchからMAGNIFICAT - Nidarosdomens jentekor & TrondheimSolistene ノルウェーの教会で収録された非常に美しい賛美歌です。主旋律を歌う女性とその背後に弦楽団とコーラス隊、指揮者の背後にピアノとオルガンが位置し、声や楽器の発する音のニュアンスや空間に広がる音の響きが特徴的な楽曲です。

 今回は16bit/44.1kHz, 24bit/96kHz, 24bit/192kHz, 24bit/352.8kHz, DSD64, DSD128, DSD256, MQA(24bit/352.8kHz)データを用います。PCMはFLACをXLDでALAC形式に変換、DSDはDSF形式です。DSD再生はDoPでDSD128まで、DSD256はPCM変換したものを視聴します。

 測定用音源は1KHzと11.025kHzのテスト用信号を用います。Element24はスペック上限24bit/192kHzなので測定時の解像度は24bit/192kHzとします。






 リスニング

 16bit/44.1kHzから順にスピーカー再生します。24bit/96kHzではテクスチャに滑らかさが感じられ、空気感が変わりパースペクティブを意識します。24bit/192kHzでは緻密なテクスチャが増し、重心が下がり奥行きが出て音の分離と空間的なエコーを意識し、音にまとまりが出ます。24bit/352.8kHzでは定位がよりはっきりとわかり、音に空気感を伴う緻密さがあり、明るく音に包まれるうような広がりが出ます。
 
 続いてDSD64は24bit/96kHzに空気感が近く、テクスチャは24bit/192kHzと並び、パースペクティブは上下が狭く感じます。DSD128はパースペクティブが上下に広がり奥行きを感じます。緻密なテクスチャは24bit/192kHzを上回ります。DSD256(PCM変換)はパースペクティブがさらに左右に広がり24bit/352.8kHzに近づき、空間感を伴う緻密さとしっとりしたテクスチャがあります。

 MQA(24bit/352.8kHz)は24bit/352.8kHzと同様に明るく広いパースペクティブを感じますが、空気感を伴う緻密なテクスチャと音の分離が良く、声や楽器の重なりがよくわかります。サウンドバランスの点で24bit/352.8kHzが上から下まで前に出る感じですがMQAは低域が若干タイトです。ヘッドフォンに切り替えるとMQAのディテール表現が際立ちます。
 
 16bit/44.1kHzから順に上げていくと24bit/352.8kHz、DSD256(PCM変換)、MQAの音は近接した音に感じられました。さらに聞き込めばそれぞれの特徴や良さが感じられ、いずれも緻密でニュートラルなサウンド傾向です。他にESS Technology社のDACチップを搭載したギアを所有していますが、音のキャラクターが全く異なります。これがMytekの音作りと言えるのかもしれません。

 以前Meridian Explorer2のレビューを行いましたが、DAC+のMQAの音もExplorer2のそれと大きく外れることはありません。付帯音が少なく明瞭さがありナチュラルという印象を改めて持ちました。しかしユニットの設計が異なりますので、やはり個性はそれぞれにあります。2Lのテスト音源はとても心地よく広がりを感じる音でした。DAC+は高精細でドライブ力があるためフロアスピーカーから低域がスムーズに出ています。インストールしたオーディオシステムにフィットしていると言えそうです。



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