MQAフォーマットに関しての投稿が続きます。John Atkinson氏がStreophile誌上で「Inside MQA」と題するフォーマット解説を行っています。(
Inside MQA | Stereophile.com)
技術解説がメイントピックスですが、前段に興味深い一節がありました。As well asから始まるセンテンスで、MQAはストリーミング配信の音質向上とは別にレコード業界に他のベネフットがあるということを彼は主張しています。それはMQAがFLACのようなロスレス・パッキング・スキームとは異なるという点だと述べています。
そのベネフィットとは、MQAによってレコード会社は著作権上の問題を絡む、ハイレゾマスターの複製をもはや販売することはなくなり、その代わりにマスターと同等に聞こえるであろう、いずれかの商品を販売し、マスターを複製することはできなくなるだろうということのようです。
昨今のフォーマット論はオーディオ業界主導のマーケティング戦略の一環という側面が大きく、製作側の視点に立ったものなのか疑問を感じる、偏った評論や広告が巷に溢れ、そもそもハイレゾマスターのリリースに消極的、否定的なアーティスト側も、オーディオ業界隈に限定した話としてオーディオファイルほどの関心を抱くことはなかったのではないでしょうか。
さてここへ来て、MQAのリリースが誘発し、いよいよフォーマット論の核心の論点に入ったという感を持ちます。それはフォーマット論を語る上で欠かせない、製作側のベネフィットという視点です。それはとりもなおさず、MQAがリスナー、アーティスト、技術者そしてレーベルというステークホルダーにメリットがあるデジタルメディア・音楽メディアとして成立するのか?という、今最も必要とされている論点でもあります。
この点は
前回の投稿で言及したマーケティングの事情という一節と重なり、元をただせば、当ブログのコラム「
音楽メディアとフォーマット」でデジタルメディア時代の課題設定とした掲げた音楽産業界のベネフィットとコストというテーマに立ち返るもので、単にフォーマット論という枠を超えた議論に広がる可能性が見えてきました。
ちなみにそのMQAですが、米RIAAがMPEG 4 AUDIO SLSと並びハイレゾとして認定することをアナウンスしました。(
HI-RES MUSIC INITIATIVE EXPANDS TO INCLUDE MUSIC STREAMING SERVICES)
これまでのRIAA、DEGのハイレゾの定義は”制作側が当初意図した、CD音質を超える、20bit/48kHz以上の、ロスレスオーディオ”でしたので事実上の修正アップデートと言えるのかもしれません。もはやMQAがロスレスか?ハイレゾか?はあまり本質的な問題ではないよう気がしますが、MQAリリースの後押しになる動きですね。
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part1 - MQAとは?
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part2 - MQA波及予測
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part3 - CAのMQA Q&A
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part4 - 制作者利益について
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part5 - MQA懐疑論
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part6 - TIDALのMQA対応
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part7 - MQAデコード解説
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part8 - MQA懐疑論的仮説
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part9 - Bob Talks
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part10 - ミュージシャンの視点から
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part11 - Stereophile MQA検証1 再構成フィルタ比較
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part12 - Stereophile MQA検証2 Audio Origami
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part13 - Stereophile 文脈によるMQA解説
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part14 - Stereophile MQAベネフィットとコスト
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コラム 音楽メディアとフォーマット・MQA Part15 - Stereophile MQAとDRM
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コラム 音楽メディアとファーマット・MQA Part16 - Stereophile MQA検証3 Bスプライン
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コラム 音楽メディアとファーマット・MQA Part17 - Stereophile MQA検証4 AD/DA
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コラム 音楽メディアとファーマット・MQA Part18 - 音楽レーベルの視点から
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